【写真展を見る】いい写真展 8つ要素(2/2)

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【写真展を見る】いい写真展 8つ要素(1/2) の後半です。

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5.いい写真展は「作者と作品に関わりがあること」

例えば、アフリカの砂漠や岩の渓谷の写真展を開催したとします。まったく同じ写真であったとしても、撮影者が「地質学を研究している人」と「旅行で行った人」ではその意味合いが変わります。

この事は【よくある相談 vol.1】 作品テーマを探しています でも紹介していますが、背伸びしたテーマでもいいですが、その人が取り組んでいて不自然でない写真展は見ていて気持ちよく腑に落ちます。一方、第三者から見て本人と遠い関係にあっては説得力に欠けます。

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6.いい写真展は「オリジナルのテクニックがある」

今回の写真展巡りは14の写真展を訪れたかいがあってさまざまな被写体・手法がありましたが、新宿ニコンサロン 芦沢 武仁写真展 曲芸のタブロー は独特の色味と階調にヌメリ感のある不思議な表現でした。

芦沢氏ご本人が在廊されていたのでその辺りをお伺いしたところ、過去に撮ったポジフィルムをスキャンし、その当時アナログでは表現できなかったコマをつないだパノラマフォーマットなどにしたということでした。

ポジフィルムの色素は時間とともに青系から抜けていきます。そのために色相環の反対にある黄色味が強くなる(強く見える)のですが、その独特の色味はその土地の大部分を占める土色、そして湿度とマッチしていました。

その色味の大元は画像加工によるものでなく、10年という単位の時間を伴う色味の変化で、真似したくても早々出来るものではありません。私は完全な傍観者となって、その隔たりの間に憧れがありました。

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7.いい写真展は「文学的である」

ここ1年の間でベストスリーの写真展の中に 池上 諭 写真展「SLOUGH」(コニカミノルタ)があります。写真だけを見ていた時なんだろう?と思っていたのですが、そのステートメントが抜群にカッコ良かったのです。

街を歩く行為を幾度となく重ねてゆくと、必然的に「旅」という言葉に突き当たり衝動に駆られた。始まりと終わりの地だけを決め、その過程に目的は持たず、ただ初めて訪れる土地の隅っこから風まかせに景色をすくい歩いた。その軌跡は北海道宗谷岬から鹿児島県佐多岬へと引かれた一本の線となり私の地図上に記されたが、フイルムには旅の面影など無く、とても個人的で無地名な事物ばかりが写し残されていた。

日本縦断というとてつもない行為を成し遂げながら、日本縦断という言葉を使わずその事実を伝える文学性を感じます。まさに写真作家です。
もうひとつ挙げると、石川 直樹 写真展「国東半島」(銀座ニコン)です。

日本は島国で海によって隔てられているという認識がありますが、隔てられているのではなく、海によって繋がっている。一方的な視点でなく広く世界を見るべき。という内容の展示でした。

ステートメントが非常に長く難解だったのですが、この長い文章の意味するとことはなんだろうと自然と引きこまれて行きます。それはちょっとしたミステリー小説の犯人探しをしているようでした。
また、石川 直樹氏のエッセイは未知の世界を文学的に消化できるオススメの1冊。私はタイトルを見て即買いしました。

デジタルカメラの台頭で撮ることの敷居が下がりました。もはや写真は誰でも撮れるのでフォトグラファー求められることはもっと別にあるのではないかと思います。

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8.いい写真展は「誰でも行ける」

INTERART7 の小林さんと話していた時の話題なのですが、写真展の開催が平日だけ、しかも夕方18:00で閉館という展示は行きたくても行けないという人がほとんどなのではないかと想像します。

「うちで写真展やりませんか?」と言われたら素直に嬉しいですが、即答快諾しないで広さや場所のほかに開催時間まで確認したいもので、いい写真展とは評価される以前に誰でも行けることにあるかと思います。

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いい写真展は「新しい地図」

あくまで個人的な意見ですが、いい写真展の8つ要素を挙げました。がいかがでしょうか?

いい写真展の基準は人様々ですが、ルールに縛られているのでは面白くなく、写真という手段を通じた未知の領域表現を世間は求めているのではないでしょうか。

あと、見て会場に答えがあるのでなく「あれは何だったんだろうか?」というくらいのさじ加減があると何かの拍子に思い出す、忘れられない写真展になります。

 

>> 【写真展を見る】いい写真展 8つ要素(1/2)

 

 

2014/10/19 追記

INTERART7 の小林さんツイッターリプライです。

作家が在廊しているといいですね。会期中は、作家は、ギャラリーに住む!

自身を持って発表する・機会を最大限に活かすなら、そのくらいの意気込みがあってよさそうです。そこでふと思ったのですが、宿泊施設付きギャラリーなるものを作ったら面白いかもしれません。会期中無休どころでなく24時間営業も可能です(笑)

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2 thoughts on “【写真展を見る】いい写真展 8つ要素(2/2)

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