【現像】建築の正面写真を手持ちで完璧に撮るために

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 たまにはこういう話題もしなきゃですよね。ということで。これからは撮り方とかも織り交ぜていきます。

 一般の方で、屋内にお邪魔することまではできますが、どでかい三脚を立てて! シフトレンズ装着のカメラを用意して! 水平・垂直を念入りにセッティングして! さあ思う存分撮影せよ! なんぞ無茶中の無茶ってもんです。
 実際は立って(座って)、短時間で撮ることとなります。この条件下ではなかなか良い一枚は難しい。

 そこで、方法論なので最良な手段はたくさんあるのだろうと思いますが、私が実践していることをご紹介させてもらいます。ちなみにあおり補正はレタッチ処理でやる前提で話をします。


真正面から撮るためには

 さて撮るときに何ができていれば真正面の写真になるのでしょうか。それは以下の2つだと言えます。
    1.撮る位置:自分がちゃんと建物の中央に立っているか
    2.撮る角度カメラが水平の瞬間にシャッターをきれるか。

 それでは2点についてどうすればいいのか考えてみます。


1.撮る位置:建物中央に立つために

 その辺のモノを測定器代わりに使うことです。建物というのは完全にシームレス(つなぎ目が全くない)には出来ていません。タイルでもフローリングでもコンクリートベタ塗りの床でも、だいたいつなぎ目が存在します。
 ありがたいことにほとんどの建物には中央につなぎ目があります。探してみてください。施工に関しては知識がないのですが、建物中央で作業を仕切っているみたいです。特に屋外ではよくみられます。
 それを見つけたら跨いで立ちます。(体がちょっと曲がる癖などがあればそれに合わせます。例えば、右足に体重をかけて撮る方ならば、あらかじめ少し左に立てばよい。)
  

 または、中央には点字ブロックがあったりするのでそれを利用します。


2.撮る角度:手持ちで水平に撮るために

 「えーっ。結局それ?w」って言われますが、撮影枚数で勝負です。手持ちでしかも数枚の撮影で水平を捉えるなんて無理な話しだと思っています。人間ですもの。
 動くモデルの撮影では数枚の成果物のために千枚以上撮るのは普通なのに、建物は動かないし数枚で十分でしょ・・・なんて、そんな慣例も存在しませんしいくら動かないからと言っても真正面を撮るって相当難しいです。だから時間の許す限りいっぱい撮ればよいです。まさに建築をグラビアの如く撮るのです。
 建物だっていっぱい撮っておだててあげればテンション上がってくるはずです。(別に変な宗教とかじゃありませんよ。)

【シャッター時のブレ・回転の対策】

 経験がある方もいるでしょうが、ファインダーを覗いていて水平になったときにシャッターをきっても、何故か曲がっていることがあります。というか絶対曲がる。私の場合は絶対左に傾いてしまう。私はどうもシャッターを切る瞬間に反時計回りに回るような力を入れているようです。たぶんですが、シャッターを切る人差し指の下向きの力に対して、対抗する上向きの力を掌から加えているっぽいのですが、後者のほうが強いみたいです。これはいかん。
 
 対策方法
 対策としてHayashi先生に以前教えてもらった「AF(オートフォーカス)ボタンの設定を変更する」方法がよいよとアドバイスをいただき、結果改善できたので紹介します。
 初期設定だとAFはシャッター半押しですが、親指に力が入る箇所のボタンにAF設定を持ってくると良いです。(Nikonの場合だとAF-L、AE-Lボタン。)かなり有効です。(個人の見解です。)

 こうすることで、シャッターと切るときに手全体が自然にグーをするような動きになりますから単純に力が入りますし、力の向き(?)みたいなものが安定するみたいなことになります。結果、ブレたり回転したりすることが減ります。
 
 あ、やばい説明が下手くそ! ごめんなさい。右の画像がbetterだと言っていますが、右の画像の方が矢印(=力の向き)の本数が少ないし、3本は自然に発生する力です。


ファインダーの中で何を見るべきか

 「理屈はわかりました。じゃあファインダーでどこ見るねん!」という事になりますが、これまたファインダー内の表示を定規代わりに使います。ファインダー内では樽型補正がかかっていない素の建物が見えています。このとき広角だと湾曲しています。厄介です。じゃあどこを見るべきか。
 水平の判定:1/4と3/4くらいの位置の、2点で判定します。(赤色の印。)
 中央の判定:中央の縦線が床・壁と一致しているかで判定します。(緑色の印。)

 これは上手くいっているパターンです。床の点字ブロックと天井のダウンライトに注目してください。すさまじく湾曲していますが、1/4と3/4地点くらいの位置だけを注目すると高さが一致しています。この時が水平です。
 建っている位置も中心ですね。

 これも凄く湾曲しています。こちらはNGで傾いてしまっています。立ち位置はまあいいですが、水平ではないですね。

 建物のパターンが一定の場合は窓枠とか、柱の付け根を基準にします。注意したいのは、三井本館などのアメリカの古典様式と言いますか、ギリシャ!みたいな柱は柱自体が湾曲していますから注意します。(つまり基準にすべきでない部材です。)

 屋内通路やアーケードのような壁が見当たらない場所では、床・天井で判定します。中央の縦線が全て一致していればそこは真正面です。下の画像は失敗例です。床と天井の中心に立っているつもりでしたが「く」の字に線が曲がっていますね。右側に立っていたからです。もう少し左から撮るべきでした。ここまで来るとPCで見ないと判断が付かないときがあるので、念の為ちょっとずつ位置を変えて多めに撮っておきます。

 要は①中央の縦線を見つつ②両脇の2点を見るのですが、片方に目が行くともう片方がずれる。これの繰り返し・・・超難しい。どうにもならない。そりゃそうです目が最低3つ必要な行為をしているのですから。天 津飯ならできるだろうが人間には2つしか無い。だから何枚も撮ります。

例外:寺、神社の場合

 寺などの非常に古い木造建築物はパッと見だと左右対称に見えますが、経年もあって歪んでいる場合がけっこうあります。そのため寺の写真でこの理屈を適用させようとすると違和感が出ます。いつまで補正してもスッキリした建物になりません。むしろ気持ち悪くなっていく。その時は諦めて自分の気持ちがスッキリする位置で撮ります。自分が見ていてなんか気持ちが悪い写真は、見る側も気持ちが悪いものです。

 まあこうやって見ると私のNGの写真って全部左に傾いていますね。笑 

シャッターを切った後、画面で何を確認すべきか

 画面を定規代わりに使って判定しましょう。とにかく何でも道具として使います。水平垂直を測るためには定規が必要ですが、定規代わりになるものを見つけます。
 カメラの画面縁を定規みたいに使います。撮影後の再生画面で、写真を拡大して建物の測定したい直線部分を画面フレームに近づけます。これで撮ってすぐに正確な水平さを確認できます。
 PCだったらウインドウとかも定規代わりになりますね。


現像で一番意識すること

 レンズが生む歪みは完璧に除去して下さい。ここの補正如何で良し悪しが決まると言ってもいいです。ただし今回は撮影方法に特化していますので別の機会に。
 Lightroomであれば[レンズ補正]→[プロファイル]を適切な値にするとか、[レンズ補正]→[手動]→[ゆがみ]を駆使します。
 Photoshopであれば[ゆがみ]や[ワープ]を使います。


   
 

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